これからは…
あっという間に研修期間は終わってしまった

予定より二週間早まっての終了

それだけ研修生たちの出来が良かったってことで

今更ながらにそのすごさを突き付けられた気がした


「黒崎先生っ」

机の上の最小限に抑えられた荷物を小さな段ボールに詰める海斗を見つけて

久々に子犬のように近づいて行った昼下がり

「宮部か。お疲れ」

一瞬向けられる瞳

そのそっけなさも4か月もすれば慣れてしまう

でも、その瞳が時々優しさを帯びることを知ってしまった今、

ただ不器用な人なんじゃないかと思えてならない

「お疲れ様ですー。さすがですね、研修期間2週間も縮めちゃうなんて」

「おかげでまた体重が減ったような気がするけどな」

ああ、これでまた帰った時にあのブラウンの瞳が不機嫌そうに細まるのは確定か

なんて思いながらそっと息をつく

「黒崎先生、最後に一個質問していいですか」

響いた声音に海斗が手を止めて視線を向けてくる

ああ、綺麗な瞳だな

なんて今更ながらに思う

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