これからは…
「どうもこうも。ただ、電話の向こう側でも黒崎先生を笑顔にさせられる人ってどんな人な人なのかなーという純粋な疑問ですよ」

それを知ったからってどうもしない

出来ない

それくらいきっと自分との差は大きいから

ふと、再び海斗が視線を向けてくる

透き通った漆黒の瞳

「一回しか言わない。…意地っ張りで強情で我がままで、寂しがり屋でしかも泣き虫な、ついでに言うと負けず嫌いな女」

「…真面目に答えてます?」

「もちろんだ。本人には不評だが、家族には好評なんだからあながち間違っちゃいない紹介文だと思ってる」

そりゃ不評だろうさ

と思いつつも、

「黒崎先生はその彼女さんのことよくわかってるんですね」

そうじゃなきゃこんな風に言えやしない

こんな風に言いつつもちゃんと心はそこに向いているのだとわかってしまうからなおのこと


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