これからは…
宮部の笑顔と言葉に、ああ、こんなにわかりやすい自分ではなかったはずなのに

と、壁に並べられた本を睨みながら思う

「そのうち黒崎病院に行ってみても良いですか」

黒崎病院で働く黒崎先生を見てみたいです

ほっとんど好奇心からですけど

「ご自由に。その意地っ張りで(以下略)の女もいるしな」

意外と気が合うんじゃないのか

「ホントですか!?黒崎病院で働く黒崎先生を見れるだけでなく、黒崎先生の彼女さんにもお会いできるんですか!?」

これは行くしかないですね!!

喜びをあらわに見上げてくる宮部

こうしている方が、変に媚を売っているよりも断然いいのに

と思ったのは後にも先にもこれが最初で最後

なんて話したら四か月ぶりのブラウンの瞳が不機嫌に細まって

「浮気!!離婚!!」

とかなんとか言われかねないので、胸に秘めておこうと密かに思う

「じゃあ、お疲れ」

仕事頑張れよ

小さな段ボールを抱えて、去っていく海斗の背に

その変わらぬ背に

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