鉄は熱いうちに撃て!?
勢い良く飛んで行った矢は、子供の足場としては、確固たるものになるほどの威力だった。
次は、矢を強く引き絞り、大空に向けて解き放った。
ラテナの金髪を風が揺らし、跳ね返りがその細い足にぶつかる位の長い滞空時間のあと落ちてきた矢は、的確に子供のぶら下がっている枝を狙い、折っていた。

ボグッ
枝が折れ子供が光の足場に降りつく頃にはラテナはもう子供に背を向けていた。

取り囲んでいた戦力外の大人たちが「ヒュー、姉ちゃんなかなかカッコいいね」と称賛するなか、ラテナは軽く会釈をして去っていく。否、去っていこうとした。

が、
空気の詠めないさっきの助かった子が、「わーい、有り難うお姉さん」と無邪気に駆け寄る。
他の男が侵入したら即座に蹴り倒すような、俗に言う半径20センチ以内まで駆け寄ると、いきなり正面から飛び付いてふざける。

ラテナが静かに下ろそうとしたときに子供があどけなく言った。

「やっぱお姉さんの胸おっきいね」

………

……



おいおい、それはまずいだろ少年
と、思った瞬間。

「言わせておけばこのガキィ、調子に乗ってんじゃないわよ」
と言うお叱りの言葉と子供の顔面にスクリューアッパーが炸裂した。
< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop