鉄は熱いうちに撃て!?
俺たちはキャラバンの集光中の時間、町を離れ少し森を散策することにした。


「あるー日、森のなーか、熊さんに、出会っーた。花咲っくもーりーの道ー熊さんに出会ったー」

お前らいい加減止めてくれ。

このへったくそな歌は、さっきから、ラテナとルドが大声で歌っている代物だ。
もうやめてほしい、最後の方なんか声が会わなすぎて、金属と金属が擦れる音にしか、聞こえん。

最初はラテナが歌い初めたんだが、そのうちに、
「あら、ルドも歌う?」
なんてほざき
「いいですね、いっしょに歌いましょう」
なんて返事をし、今に戻る。

俺が5分ばかり前の回想に思いを馳せていると、今更俺の心の叫びが届いたのか、
「なによ、何か文句あるの!?」
と、すでに逆ギレのラテナの返事が返ってきた。

お願いだからその歌を歌うのを止めてくれ本当に、熊が来そうだ。

「あら、大丈夫よ。私の歌を聞いてれば、襲うことも無いわ」

それは、お前のへたくそな歌のパワーか? 
ああ、確かに犬くらいなら気絶するかもな。

「私の歌に聞き惚れて、襲う気もわかないはずだわ」

どんなポジティブシンキングだよ。

しょうがない、こっちの馬鹿素直小僧の方からいくか、

「別に悪気があるわけじゃないからいいんじゃないですか」

いや、悪気が無いのは知ってるが、それで何故にお前も歌う?
しかも少し、こぶしとビブラートを強調させて

「大勢で歌った方が楽し……いやいやモンスターも寄り付かないもんですよ。ステルさん……失礼噛みました。スティールさん」

いや言い直した部分も間違ってるつーの

と、言おうとしたが言えなかった。

「シッ、静かにして周りを見て」

何故なら俺達は、気付いたら360度をモンスターに囲まれていたからだ。

全員が戦闘体制をとる。

こいつらは、何だ?熊か?いや、違う鎧のようなものを着けてる。
ということは、
「アーマードベアですね」
ルドが俺の思考と同じ事を声に出す。

はぁー、お前らがあんな歌を歌うからこんなことに

大きな溜め息をつく、

その時、後ろにいたシルは…………
何故か俺の後頭部の枝毛と寝癖を直していた。
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