鉄は熱いうちに撃て!?
あー、やっぱ覚醒使っちゃたか。

これ最初見たときは、ビビったな。オレ。
俺は、これを使うのをあまりおすすめしないんだけどな。いい気の巡りをしてないんだよ。これ、
……と、前、ルドに言ったら、

「べ、べ、べ、別に怪しくなんて、ないですよ!だ、だ、大丈夫ですよ。心配ないないナイル川」

あ、怪しいぞ。とてつもなく。

ま、まあ、と、とりあえず、あんまり使わない方がいいと思うよ。

「わ、分かりました。や、やめときます」

その喋り方も辞めようか

「はいはいハイリスク」

と、前言っておいたのでだんだん使う頻度は減って行ったが、まだ名残惜しいようだ。
そりゃそうだとも思う。絶対的な力は持っていたほうがいい。

グァブリ

ルドの覚醒後の腕にアーマードベアがかぶりついた。

「おっ」

とルドがそちらを見るが、虹色に光った腕は、全く痛覚が無いのか、その顔に苦痛の表情は無い。むしろ少しうれしそうだ。

「そうやって、勇敢に立ち向かっていく奴は、嫌いじゃないよ。でも、勇敢さと強さは違う。
敵の強さを見切れない奴は、早死にするだけだよ。


君には僕は殺せない


…………残念だったね」

ルドの顔には微笑みが浮かんでいた。

その微笑みの上、頭部の部分の色は今、青へと変わっていた。
腕が水となり、アーマードベアの身体に染み渡って行く。

その刹那、今まで水だった所に炎を急に注入する。

「凶手連撃 飛弾花火」

物質の中に入った液体がいきなり気体に代わると、どうなるかは、言わなくても分かるだろう。
気体が、物質を中から押し、そうすれば当然物質は…………はじけ飛ぶ。

アーマードベアは、空に上がった花火が空に散るが如く、その体を余すことなく天地へと、散らしていった。

その破片を浴びながらも、ルドはまだ微笑を湛えていた。



そうこの覚醒を使うと、いつもは、人畜無害で大人しいルドが……なんというか……狂暴になるのだ。
< 15 / 20 >

この作品をシェア

pagetop