鉄は熱いうちに撃て!?
中に入った俺たちは、街のメインストリートの商店街へと、足を運んだ。

「いーらっしゃ~~い!」
「おっ、兄ちゃん。どうだ?買っていかないか」
「はい、これサービスね」

危惧するべきは外観だけだったようで、中はうってかわって活気があった。

「スチル。 あれ食べたい」
 
ねだるシルには、腕をひかれ

「スチルさん! あそこに、最新の魔導書が!! 行きましょう!! さぁ レッツGO」

ルドには逆の手をひかれ、

「ス~チ~ル。 あそこにある銀のアクセサリー欲しいんだけど駄目♡?」

と、ラテナに首をつかまれ、


もう身動きどころか、命さえ危ない状態になった俺は、くっついてるやつらの願いを全部聞き届けることで、難を逃れた。

「でも、私(僕)が持つのは重いから、スチル持って」

……計算しよう。

俺+(3人)+(荷物)-(3人)-(俺の金)
=俺+(荷物)-(俺の金)
=俺-(俺の金-荷物)

荷物<俺の金



……そうか、結局軽くなるから、大ジョブか。うんうん。

俺は、頷きながら。荷物を持つ。

あれ、涙が出るのは気のせいだろうか。

それぞれ、好きなところに散って行ったので、一人ぼっちとなった俺は、重い荷物を置いとくため、角にある酒場へと入った。

ここのマスターは知り合いだ。

「おう、スチル! 久しぶりだな。 どうだ、はかどってるか?」

「まあ、ぼちぼちってところだ」

「お仲間さんは、どうしたんだい?」

「欲しものがあるらしいから、金渡して、放しといた」

「……大変そうだな。お前、まだ、二十歳そこそこだろ。そんなおっさんみたいな二十代もいないぞ」

「まあ、楽しいからいいんだよ」

「そうかい、それならいいんだが。……まあ、とりあえず飲みなって」

「おうよ、どうもです」

それから、小一時間ほど、近況をくっちゃべってから、俺は先ほどの疑問を聞いてみた。

「そういや、ここに来るときに城門がやられてたが、あれはどういうことだ?」

「ああ、あれか、あれはな……」

マスターは滔々と語りだした。
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