PANSY~私の事を想って下さい~
「俺、さっき見ちゃったんだけど…」
私は、さっきまで俯いていた顔を上げて、先輩のその言葉に首を傾げた。
見たって、一体何を見たんだろう…
「…さっき、泣きそうになってなかった?」
「!」
私は先輩の言葉にびっくりして目を見開いた。
な、何で??
そんなに分かりやすく泣きそうな顔、してた??
「何か辛いことでもあったの?」
そんな言葉を聞いて、泣きそうになって俯いた。
心配して声を掛けてくれる…。
優しいね。
酒井先輩は。
でも、初対面でそんな面倒くさいこと言われても迷惑だよね…
私は唇を噛みしめて、必死に出そうな涙をとめた。
そして、先輩を見て少し微笑んでこう言った。
「…そ、そんな~!何もないです!大丈夫ですよ!」
これが今の私の精一杯。