僕のおじいちゃんはおばあちゃんだ



おばあちゃんは、最初、びっくりした顔をしたが……
静かに話し始めた…




「…おばあちゃん!何となく分かってたよ……でもっ…口に出して言えなかった…ごめんね」




鼻がツンとなった…

涙が…
ポロポロと出てきた。


「おっ…おばあちゃん!」


おばあちゃんの胸に飛び込んだ。



おばあちゃんは静かに、よし…よしっと背中を叩いてくれた。



昔!………
確かこんな事があった。
3月3日の雛祭り
雛壇の前で、可愛く着飾った自分が、ふてくされて、あられを食べていた時



おばあちゃんが、新聞紙で作った兜を、
ほれっ機嫌直せ!と、兜を、かぶらせてくれた事があった。



あの時は、何だったのか解らなかったが、今なら解る気がする。5月5日の男の子の節句の兜だ!



しばらくの間……
おばあちゃんの腕の中にいた。



大分、気持ちが落ち着いた頃……



「夕夏の、好きな様に生きたらいい……おばあちゃんは、夕夏の見方だから」



そう言って頭を撫でてくれた。



顔を上げる事も出来ず
ただ……


「うん…うん」


と、おばあちゃんの腕の中で、何回も頷いた。



   
< 11 / 33 >

この作品をシェア

pagetop