いつか、この想いを。



「唯ィ、早くしないと授業始まっちゃうよぉ。」



可愛いらしい声が、焦ったように私を急かす。



「んー、待って。

…おかしいな、落とすはずないのに。」



私もいつになく焦って、鞄の中をガサガサと漁る。





…ない。



持ってきたはずのお気に入りのハンカチが、どこにもないのだ。



中学を卒業する際、遠くへ行ってしまう親友と買ったハンカチ。



随分と月日が過ぎた今でも、大事に使い続けてきた。



…なのに。



「…なんっで、ないのっ!?」
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop