いつか、この想いを。
「唯ィ、早くしないと授業始まっちゃうよぉ。」
可愛いらしい声が、焦ったように私を急かす。
「んー、待って。
…おかしいな、落とすはずないのに。」
私もいつになく焦って、鞄の中をガサガサと漁る。
…ない。
持ってきたはずのお気に入りのハンカチが、どこにもないのだ。
中学を卒業する際、遠くへ行ってしまう親友と買ったハンカチ。
随分と月日が過ぎた今でも、大事に使い続けてきた。
…なのに。
「…なんっで、ないのっ!?」