いつか、この想いを。
「唯っ 早く!」




可愛いらしい声の主───穂高 愛梨(ホダカ アイリ)が焦れたように私を呼んだ。



教室の壁にかかった時計を見ると、1限が始まるまであと…1分。



「〜〜〜〜っ、愛梨ゴメン、先に行ってて。」


「もぉー…先生には言っとくね!」


「ありがと。」




よき友を持ったものだ、なんて呑気なことを考えて、再び鞄漁りを始める。



…けれど、どれだけ漁ったところで見つからないものは見つからないわけで。



「はぁ…。」



…もうあのハンカチとお別れするしかないのかな…。



捜すのを諦め、1限の準備をして教室を出ようとした。
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