もっと美味しい時間
二人ともずぶ濡れになるとシャワーを止め、バスタブにお湯を張る。
「もうっ! 服まで濡れちゃったじゃないっ!!」
「だな。もう脱ぐしかない」
ニヤリとお得意の笑みを湛えると、私を下ろす。
この確信犯っ!
結局は脱がなくちゃいけないんじゃないっ!!
髪と服、下着までもがびしょびしょだ。ここで脱ぐ以外、どうしようもない。
この上もない大きな溜め息を漏らすと、おずおずと服を脱ぎ始めた。
「後ろ向いててっ」
「何で?」
「何でって……。恥ずかしいからに決まってるでしょっ!!」
「どうせすぐに見られちゃうのに……」
そんなことは分かってるよっ。でも、嫌なもんは嫌なのっ!
慶太郎さんをクルッと反転させると、お湯で濡れて身体に張り付いてる服を、一枚一枚脱いでいく。
最後にパンティーを脱ぎ一糸まとわぬ姿になると、まだお湯が溜まりきってないバスタブに急いで入った。
「しょうがないなぁ」
それだけ言って慶太郎さんも最後の一枚を脱ぐと、中に入ってくる。
私の後ろ側に入り込みお腹の前で手を組むと、きゅっと抱き込まれてしまった。
「自分からこうしといて何だけど、お前を抱くことが出来ないのにこの体勢は拷問だな」
自照気味に笑うと、お腹の前で組んでいた手を離し、右手で太腿の辺りを撫で始める。