もっと美味しい時間
そんなことあったっけ?
なかなか思い出せず首をひねっていると、慶太郎さんが話しだした。
「ほら、倉橋との件が片付いて、お前との関係が戻った次の日」
「うん……」
「朝っぱらからお前をからかったら、俺めがけて飛びついて馬乗りになってさ」
「あぁっ!」
思い出したっ!!
確かよだれ垂らして寝てたとか何とか言われて……。
頭にきた私は、なりふり構わず慶太郎さんめがけて飛びついたんだっ。
それも、素っ裸で……。
何でそんな私の汚点、覚えてるかなぁ。
全部を思い出すと、恥ずかしさで顔が熱くなってきた。
でも、その話と今と、何の関係があるの?
首を傾げて、慶太郎さんを見る。
「それにしても、いい眺め」
「いい眺め?」
うん? あれ?
このセリフ、聞き覚えが……。
またも首を傾げている私に、慶太郎さんが指をさした。
えっ? 下?
その指先を見るようにゆっくり顔を下に向けると、恋をしてから少し大きくなったと思われる、2つの胸が……。
「ボリューム感は少なめだけど、俺好みの胸だ」
大きくなったと思っている私の目の前で、失礼千万なことを言いながら、先端をチョンっと突いた。
「け、慶太郎のバカッ!!」
今日二回目のバカを吠えると、首に掛けていた両手に力を込めて、慶太郎さんをお湯の中にグッと沈めた。