もっと美味しい時間
今後自分がどうしたらいいか……。
その答えが見つかると、慶太郎さんと離れてからずっと感じていて、でも表には出さなかった“不安と寂しさ”が、少しずつ解消されていく。
でもまだ現実になるのは先の話。
その日を早く迎えられるように、今やってる仕事を頑張って終わらせないと……。
またしばらく週末の逢瀬はお預けになりそうだけど、それも二人の未来のためなら我慢出来る。
少し泣くのも落ち着いてくると、ヒドい泣き顔のまま慶太郎さんを見上げた。
「何かよく分からんけど、スッキリした顔してるな」
まだ顔に残っている涙を、親指で丁寧に拭ってくれる。
その指に甘えるかのように顔をすり寄せると、大きな手で頬を包み込まれた。
「そんなことすると、我慢してる理性がぶっ飛ぶぞ」
「あと一日、我慢してね」
手のひらに、チュッと音を立ててキスをする。
「分かった。でも明日、綾乃との話も何もかもカタがついた暁には……」
暁には……
「今度は百花が、何されても我慢しろよ」
はぁっ!? 何されても??
……って、慶太郎さん、何するつもりっ!?
また変態エロ慶太郎が出てきちゃったのっ!!
慌てて慶太郎さんから離れるようにソファーの一番端まで後退りすると、唇をぺろっと舐めながらゆっくりと這うように近づいてきた。
もうこれ以上逃げられない私を捉えると、耳元に顔を寄せ耳朶を喰む。
「あ……んっ……」
「百花は一生、俺から逃げられない__。明日が楽しみだ」
さっきまで寂しそうにしていたのは演技? と思ってしまうほどの豹変ぶりに驚くその一方で、明日を待ち望んでしまう、もう一人の私がいた。