もっと美味しい時間  

昨日といい今日といい、パンツ見られまくりだよ。
まぁ慶太郎さんだからいいか……って、良くない良くないっ!!
私としては、暗いところで裸を見られるより、明るいところで下着姿のほうが恥ずかしいというか何というか……。

脱衣場でゴムを直し短パンを穿くと、自分の顔を鏡に映す。
少しピンク色に染まった肌は、いつもより艶があって調子が良さそうだ。
身体は正直と言うか、やっぱり慶太郎さんのそばに居るほうが、心も身体も潤いが増すみたい。
しかし、あの綾乃さんの美貌には、どんなに頑張っても勝てっこない。だってあの人は、私にないものを全部持ってるんだもの……。
でもただひとつ。

慶太郎さんを想う気持ち__

これだけは、負けるわけにはいかない。
どんなことがあったって、手放す訳にはいかない。
ひしひしと沸き上がってくる闘志に、身体が熱くなる。ファイターにでもなった気分だ。
鏡に向かってファイティングポーズを決めると、エイっと片手を突き出した。

「何してるの?」

鏡の端っこに映り込んでいる慶太郎さん発見!
構えている腕をゆっくり下げると、何事もなかったように顔を洗い出した。
後ろから聞こえてくる、ククッと堪えてるような笑い声。
見てたよね? 笑ってるんだもん、確実に見てたよね。
いつから見てたのよっ!!
恥ずかしさから真っ赤になった顔を冷やすように、バシャバシャと顔を洗っていると、後ろから抱きしめられた。

「俺の可愛いボクサーさん。さっさと顔洗って、朝食作って」

それだけ言って脱衣場を出て行くと、お馴染みの盛大な笑い声。
やっぱり見られてたんだっ!  意地悪っ!!

でも__

『俺の可愛い……』って言ってくれたから、今日のところは許してやろう。
ふかふかのタオルで顔を拭くと、慶太郎さんが待っているリビングへと向かった。





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