もっと美味しい時間  

今朝はあまりゆっくりもしていられない。
折角7時前に目が覚めたのに、慶太郎さんのちょっかいのお陰で、あっという間に時間が過ぎてしまった。
綾乃さんと京介が来るのは10時。
もう2時間を切ってしまっている。

「時間ないからロールパンサンドでいい?」

「百花が作ってくれるなら、何でもいい」

そう言うと、私にしか見せない最大級の笑顔を向けた。
もう、朝から何回キュンキュンさせれば気が済むのっ!!
心の中ではグフっと笑って、でも表の顔は表情を変えない。
だってここで甘い顔を見せれば、絶対にまた近寄ってきて、何をされるか分かったもんじゃないからねっ。
ここは冷静な対処をするに限る。

「はいはい。じゃあ大人しく待っていて下さい」

「何だよっ、つまらん奴だ」

この拗ね方……。
私の勘は当たっていたみたいだ。
ふぅ~っと肩をなでおろすと、冷蔵庫を開ける。
相変わらず、ここの冷蔵庫には良い食材が入っている。きっとまた綾乃の奴が持ってきたんだろう。
と、ついつい心のお口が悪くなってしまう。
まぁ、それをホイホイもらってしまう、慶太郎さんも慶太郎さんなんだけど……。

何サンドでも出来そうなくらいな食材の中から、スモークサーモンとロースハム、クリームチーズをチョイス。野菜室からは、レタスにキュウリを取り出した。
野菜をささっと水洗いすると、レタスは程度な大きさにちぎり、キュウリは斜めに薄くスライスする。





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