もっと美味しい時間
「ふわぁ~。眠い……」
車に乗り込み出発した途端、あくびに襲われた。
出発は6時だったけれど、私が起きた時間は4時。
女の子は、出掛ける準備に時間が掛かるからね……。
昨晩はお風呂にサッと入ると、お肌のお手入れに時間を掛けた。
なんてったって、明日は私にとっては勝負の日。慶太郎さんのご両親に、良い印象を持って貰いたいからね。
体型は一日ではどうにもならないけど、顔の見た目くらいは肌の調子ひとつで変わってくるもんでしょ?
顔をパチパチ叩き化粧水をしっかり染み込ましていると、慶太郎さんがお風呂から出てきた。
「何、まだ頑張ってるの? 今更何したって、変わらないだろ」
「そんなことないっ。ちょっとでもキレイになりたいのが、女心なの」
「今のままでも、十分キレイで可愛いじゃないか」
そう言うと、下半身にバスタオルを巻いただけの姿で、私を後ろから抱きしめた。
薄手のキャミソール越しから伝わる熱に、冷めかけた身体が火照りはじめる。
「百花、ドキドキしてる」
首筋に唇を這わせると、手を胸元へと滑らした。
「ダメっ!!」
キャミソールの隙間から差し入れようとした指を、間一髪で阻止する。
「今晩はダメ。また寝不足になると困るから……。明日は早起きしないといけないし」
クルッと身体を反転させると、慶太郎さんの唇にキスをする。
「今日は、これで許してね」
「しょうがないな」
クスっと笑い私を抱きしめると、もう一度唇を重ねた。