もっと美味しい時間
と言うことで、昨晩は何事も無く睡眠時間は採れたんだけど。
やっぱり4時起きは、身体に堪えるわけで……。
「百花、寝ていいぞ。最初のサービスエリアに着いたら、起こしてやるよ」
「ありがとう。でも、いい。慶太郎さんが運転してくれてるのに、横でなんか寝れないよ」
「そんなこと、気にすることないのに」
フッと微笑むと左手を伸ばし、私の右手を撫でる。
「あったかい手してるな。相当眠いんだろ?」
まるで赤ん坊扱い。なんか、気に入らない……。
でも確かに、かなり眠い。ちょっと会話がなくなれば、すぐにでも寝てしまいそうだった。
「ねぇ慶太郎さん。しりとりしない?」
「しりとりっ!?」
いきなり何言い出すんだとばかりの声を上げ、ケラケラ笑い出した。
「子供の頃ね、家族で旅行に行くと、その道中いっつもしりとりしてたんだ。結構盛り上がるんだよ」
「お前んちの家族らしいなぁ。よしっ、しりとりするかっ!」
「うんっ!」
じゃあ私からっ! と勢い良く始めたしりとりだったんだけど……。
眠さのほうが勝ってしまい思考能力低下中の私は、同じ言葉を二度言ったり、最後に『ん』が付く言葉を続けざまに言ってしまう。
挙げ句の果て、言うことが無くなってしまい頭の中で考えている途中で、夢の世界へと落ちてしまった。