もっと美味しい時間
「いや、いい。今日は俺たちが、みんなを招待してるんだ。出来ることはできるだけ自分たちでやるよ。ありがとうな」
明日香さんの肩に手を当て優しく微笑むと、明日香さんは「うん」と微笑み返した。
「百花も無理しないようにね。また倒れらたら迷惑よ」
迷惑なんて言っているけれど、美和先輩も心配してくれている。
「はい。今日は倒れないようにします。ところで京介は? もう来てる?」
慶太郎さんが今日は休みのために、急に入った仕事の処理を京介がやっていたらしい。それも昼には終わって、こっちに向かってるって話だったんだけど。
「もう到着してる。もう皆と飲んでるよ」
「そっか、良かった。美和ちゃんも戻って、一緒に飲んで待ってて」
「そう? じゃあお言葉に甘えて」
嬉しそうな顔をすると、足早にレストランへと向かった。
「じゃあ私も」と明日香さんもいなくなると、水華さんの店のフィッティングルームに二人きりになる。
……いや、ここは四人きりになったと言うべきなんだろうか。
でもまだ喋らないし、私達が何してるか分からないだろうし。
……って私、何しようとしてるの?
頭の中で良からぬ妄想が始まってしまい、顔が熱くなってきた。
「何一人で顔赤くしてんの? 百花はエッチだなぁ」
「べ、べ、別にエッチなこと考えてたわけじゃない……し……」
ヤバいっ。こんなしどろもどろじゃ、否定したって説得力がないじゃないっ。
慶太郎さんは、私のことなんてお見通しな顔しちゃってるし。