もっと美味しい時間
京介がマスターらしき人と親しそうに話をしているところを見ると、どうやら行きつけのお店みたいだ。
「おっ、京さんが女の子連れてくるなんて珍しいね」
へぇ~、そうなんだ。そんな感じしないのに。
「お前、今失礼なこと考えただろ?」
「…………」
おぉっ!? バレてたっ!!
やっぱりこの人は侮れない……。
「こいつ、慶太郎の彼女。いや、婚約者か……」
どっちでもいいですよ……そんなこと。
でもこの店は、慶太郎さんも常連さんらしい。これから大阪に来た時は、必ず寄ることにしよう。何か慶太郎さんに関する、良い情報が入るかもしれないし。
あれ? 何か私も腹黒くなってきたかも……。京介の影響?
「はじめまして、藤野百花と言います。これから大阪に来た時は、寄らせて頂きますね」
「ありがとうございます。私は、並木秋都。みんなからは“あきさん”って呼ばれてるんで。いつでも来てくださいね」
「はいっ、あきさん、よろしくお願いします」
優しく穏やかな人柄に、心が癒される。
何せ今日は朝から京介とほとんど一緒で、心身ともにお疲れだからね。
甘いものでも口に入れないと、完璧にはなれそうもない。
この後の戦いに備えて、体力と精神力を蓄えないと。
女の意地の戦いっ!!