もっと美味しい時間
「やっぱ、お前に優しくするとろくな事にならない」
そう言ってイスに座り直すと、また新聞を読み始めてしまった。
「京介、ごめん。笑ったのは謝るから、さっきのどういう意味か教えて」
このままじゃ、気持ちがモヤモヤして落ち着かない。
必死に懇願すると、新聞で顔を隠したまま、しょうがないなという感じながらも話しだした。
「一年もしないであいつを変えたお前はスゴいってこと。だから自信を持て。いいか、自分の気持ちなんかに負けるなっ。そんなんじゃ綾乃には勝てないぞ」
私がスゴい? だから自信を持て?
それって……。
やっと京介が言いたいこと、私に伝えたいことが分かった気がした。
一気に身体中が、ヤル気で漲ってくる。
京介が新聞をたたみ、私の顔を見た。
すると自分の言ったことが今更照れくさくなったのか、少しだけ顔を赤くして頭を掻く。
「……ったく、何で俺が熱く語らなきゃなんないんだよ。このツケ、絶対慶太郎に払わせてやる」
なんて言ってるけど、その顔はスッキリしたような表情をしていた。
最初こそ印象が悪かった京介だけど、やっぱり慶太郎さんの親友だけあって素敵な人なんだ。
人として、尊敬できるかもしれない。
「って、そろそろ時間だな。お前グズグズしてないで、さっさと食えよっ! せっかくあきさんが作ってくれたのに、アイスがダラダラこぼれてるじゃないかっ!! このバカ女っ!!」
前言撤回!
絶対に尊敬なんかしてやんないんだからっ!!
京介に向かってイーッと怒った顔を見せると、大急ぎでパフェを食べた。