もっと美味しい時間  

「だ、大丈夫だよぉ~。もう、京介は心配性だなぁ」

空元気でそう言っても、京介にはお見通しだったみたい。

「バカ女」

いつもと違う優しい言い方の『バカ女』に、キョトンとしてしまう。

「もし……もしもだぞ。慶太郎と綾乃に何かあって、どうしていいか分からなくなったら、俺のところにこい。泣く胸くらいは貸してやる」

ほんの少し頬を赤らめて照れくさそうに言う京介を見ると、心が温かくなって身体の緊張が抜け始めた。

「京介……。でも、慶太郎さんが私を裏切ることなんて絶対にないから大丈夫っ」

そう、大丈夫。
綾乃さんとなんて、何かあるはずないじゃないっ!
だって私を、私だけを愛してるって言ってくれたんだから……。

「そうだな……。あぁ~、こんなこと言ったって慶太郎にバレたら、アイツまた怒るだろうな。最近の慶太郎は、あんたのこととなると心が狭いから」

顔を見合わせてると、二人同時に笑い出す。
ちょっとだけ、気持ちが楽になったかな……。

---京介、ありがとう---

何やかんや言っても、私がピンチの時には必ず助けてくれる京介に、心の中で感謝すると、座り直してしっかりと前を見た。






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