もっと美味しい時間  

「京介ちゃん、ごめんね。ここでもいい?」

きょ、京介ちゃんっ!?
う~ん、似合わない……。
ブブっと吹き出しそうになるのを堪えていると、京介に頭を引っ叩かれた。

「痛いっ京介!  暴力反対っ!!」

「またどうせ、『京介ちゃんだって。似合わな~い』とか何とか思ってたんだろ」

「正解っ!」

どうして分かったんだろう?
そのエスパーみたいな能力には、相変わらず脱帽だ。

「春さん。俺、この部屋のほうが落ち着くから」

「そうかい? 悪いねぇ。まぁこんなとこで立ち話もなんだし、上がって上がって」

そう促され部屋に上がる。何となく落ち着かなくて、部屋をキョロキョロ見渡していると、京介が春さんと呼んでいたおばちゃんが私の横に座った。

「この部屋はね、元々お得意様用の個室として作ったんだけど、今は私たち夫婦の休憩所も兼ねててね。いつの間にか、居間みたいに物が増えちゃったんだよ」

「いいじゃん。確かに物は増えたけど、キレイに片付いてるしテレビあるし言うことないよ」

「京介ちゃんは、ほんと優しいねぇ~」

や、優しいっ!? 
また良からぬことを考えて吹き出しそうになっていると、京介にジロッと睨まれる。
おぉ~、怖い怖い。


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