浮気彼氏×臆病少女
もしかすると、カレは来てくれないのかもしれない。
あたしなんかのアドレスなんて消してしまっているかもしれない。
実を言うと、返事がきていなかったのだ。
けれど、カレが見ていることを信じてあたしはここへ来たのだ。
サヨナラを‥‥告げるために。
あたしに言えるかな‥‥。
今更になって怖くなってきてしまった。
来てくれるかもわかんないのにな。
あたしは、外の景色を眺めながら柵に手をかけた。
「飛び降りでもする気か?」
ドアが開いた音もなく、ただ静かな世界に低い声が響いた。
あぁ、泣いてしまいそうだよ。
来てくれた、ただそれだけの事なのに。