HELIOLITEー君と輝く音ー
お母さんとしては、家事をやってくれるのは本当にありがたいけど…
そう呟いたお母さん。
そして、私に投げかける。
「でもさ、かなでだって本当はやりたい事とかあるんじゃないの?」
家事の他にさ、色々と夢とかあるんじゃないの?
そう言ったお母さんの顔が忘れられない。
とても申し訳なさそうに歪められた表情が。
私は手に持っていた箸を一旦置くと、お母さんに向き直った。
「そんな、やりたいことなんて特にないですよ。それにもう直ぐ高校三年生ですよ。勉強が大切じゃないですか…」
「勉強も大切だけどね。お母さんはそれ以上に自分がしたいことを大切にして欲しいの。かなでがそう言うのならその言葉を信じるけど。でも、突然でもやりたい事が見つかったら言って頂戴。お母さんは何だって協力するからね」
「…うん。分かりました。ありがとうございます」
やりたい事…
(私って何がやりたいんでしょうか…)