HELIOLITEー君と輝く音ー
それにしても、いくら何でも急過ぎる。
失敗したらどうしようだとか、誰も聞いてくれなかったらどうしようだとか。
心配な事が湧いては絶えない。
「かえで」
「うぅ…何ですか?望ちゃん」
そんな事を考えていたら、少し涙が出てきた。
だって、私には無理なんだもん。
彼らの前で歌えるようになるのにも数日かかったというのに。
それは、他の人には分からない事。
降りかかるプレッシャーに押しつぶされそうになる。
「かなでなら、大丈夫よ。ね?」
「の、望ちゃん…」
手を取り微笑む望ちゃん。
「そそ。おかもっちゃんはいつも通りやったらいいんだよ〜」
「りんちゃん…」
白い歯が覗く満面の笑みで言うりんちゃん。
「かなでだから出来る事がある」
「ひ、広紀くん…」
最後のヒーロー、広紀くんの言葉が胸に残る。
私だから出来る事。私にしか出来ない事。
そう思うと、出来そうな気がしてきた。
本当に彼は私のヒーロー。
言葉だけで、私を安心させる事が出来るのだから。