HELIOLITEー君と輝く音ー



信じられない…


だって、この堅物なお父さんだよ?


あまり、喋らないお父さんだよ?


そんなお父さんがバンドやってて、それもボーカルって!


ボーカルなんて、私が言うのもなんだけど、明るくて元気で面白い人がやるものじゃないの?



人は見かけに寄らないものなのか…


それを、今この時実感した。



「あの…なんで、辞めてしまったのですか?」



ふと湧いて出た疑問を口にする。


バンドをやっていたお父さん。


それを今はやっていないと言っていた。



「ま、趣味でやってただけだからな。バンドなんてそんなものだろ」


「でも、そんなお父さんのやってたバンドは巷では結構有名だったのよ」


「そうなのですか?」


「そうなのよ」



ふふふとお母さんが笑う。そうは見えないでしょうと、続けた。


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