HELIOLITEー君と輝く音ー
「馬鹿な拓弥にチャンスをやろう。これに答えられたら、馬鹿は取り消してやる」
「本当か?本当だな?よし来い!」
膝を曲げ、腕を曲げ、臨戦態勢に入る拓弥。
そのオーバーリアクションが馬鹿な証拠だというのに。
まあ、いい。
「どうやって、彼女をボーカルにするんだ?どこの誰かも分からない奴を…ああやってバンドのボーカルにするって言うなら、何かしら考えがあるんだろ?」
「え、あ。それは…あれだよ。あれ。ほら、あれ」
あれって言えば、あれだって。分かるだろ?あれだって。あれ。
永遠とあれを続ける拓弥。
「…………」
「馬鹿…」
「分かった!分かった!認めるよ!俺は馬鹿だよ!あー!すみませんねぇ!」
呆れたように望が呟いた。
目に見えて拓弥が落ち込んでいるのが分かる。
馬鹿はどう転んでも馬鹿にしかなれん。
チッ…
期待はしていなかったが、本当に。使えない奴だな。