【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
母が用意したフルーツサラダとクロワッサンの朝食を勧めると、美味しそうにクロワッサンを頬張る香織。

可愛らしい姿に癒されながら、暫し見とれていると、不意に思い出したように彼女が言った。

「あ!」

「何?」

「思い出した。聞き逃した寝言の一部」

ブホッ!

思わず飲みかけたコーヒーを吹き出しそうになった。

追求をやめて濁そうと決めたとたん思い出すとはね。

現実から逃げるなという、天のお告げだろうか?

「…僕、何て言ったの?」

合格発表前の受験生のように、心臓が爆走を始める。

とんでもないことを口走っている気がするんだけど…

ちゃんと誤魔化せる範囲であってくれるといいなぁ。


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