【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
僕の鼓動で香織が眠れたというのは、嬉しいけれど、それは意識していない証拠でもある訳だ。

複雑な気持ちだが、僕の腕の中で安心できたという言葉は嬉しかった。


「僕の寝言のせいで香織が寝不足にならなくて良かったよ」

「あの時、何て言ったか覚えていない?」

「…覚えて無いなぁ?どんな夢を見ていたんだろうね?」

覚えていないけと、大体解るよ。

君には教えてあげられないけどね。

無理矢理作る笑顔が、引きつっている気がするのは否めない。

「あっ!もしかしてベッドサイドにあった資料を『取って欲しい』って言ったのかしら?」

どうしたら、そんな風に考えられるんだろう?

まぁ、僕にとっては都合が良いけど。


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