【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
『香織っ!にげろーっ!』
廉君の声に顔を上げると、いるはずの無い彼の姿があった。
硬直し動くことも出来ないあたしの目の前には、迫り来る貨物列車。
幻でもいい。
死ぬ前にもう一度会えてよかった…
そう思ったら恐怖は消え、心から笑うことが出来た。
これが最後なら…あたしの笑顔を覚えておいて欲しい
あたしはあなたに出逢えて、恋をして、とても幸せだったから…
廉君、最後に会えて嬉しかった…
あなたの事が大好きだったわ―…