【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

その後、香織のボディガードを任せられた俺は、美しく成長した娘から片時も目を離すことが出来なくなった。

百合絵にそっくりな百合子とは対照的に、香織は俺に似ている。

かつての俺を知る人物が気付きはしないかと、ドキリとすることもあった。

香織と廉さんは、まるで血が呼び合うように惹き合っている。

俺と百合絵がそうであったように、互いの欠けたパーツを補う一対の心で結ばれている。
それを感じただけに、二人を見ているのが苦しかった。

なんとか香織を脅えさせ廉さんから引き離そうと、紀之さんを挑発したり、チンピラを雇ったりして脅しをかけてみたりもした。

まさか、自分の雇ったチンピラが小村にも雇われていたなどとは思いもしなかった。

情けなくも自分が怪我を負い、娘を助けることも出来ず、最悪の形で傷つけてしまう結果となった。

最低の父親だ…。

香織はどうなったのだろう。

小村が俺を襲ったときの口ぶりからは、無事らしい事は分かった。

だが、あの状況で何もされなかったとは考え難い。

考えたくはないが、もしかしたら香織は心にも身体にも深い傷を負ってしまったのかもしれない。


それも全て俺のせいだ…。


憎まれても殴られても良いから、この目で無事を確かめたかった。


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