【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「大体、噂ってなんだよ。どっからそんな…」

「廉、彼女は何も知らずにお前と付き合っているんだろう?
本気ならそれは可哀想なんじゃないか?真実を告げてやるのが彼女の為ってもんだろうが」

「真実も何も…。
僕は誰かの言いなりになるつもりなんてありませんよ」

「クスクス…威勢のいいことだな。
だが、それも今だけだ。せいぜい恋愛ごっこを楽しむといいさ」

紀之さんはそれ以上の事は言わず、面白そうにクスクスと笑いながら車に乗り込んだ。

「廉の本気が何処までのものか…見せてもらうよ」

僕に向けられたのか、独り言なのかも判らないような小さな声でそう呟くと、車を急発進させあっという間に走り去った。

僕の腕の中で震える香織が不安げに成り行きを見つめていた。


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