【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「紀之さんに何かされた?」

「ううん…怖かったけど大丈夫」

顔を横に振った時、目じりに溢れていた涙が頬を伝って流れた。

その姿が胸に痛くて…

僕は彼女をギュッと抱き締めた。

「廉君…あの人誰?
真実っを告げるって…どういうこと?」

「あの人は僕の従兄だよ。
紀之さんの言ったことは気にしないで。
香織が心配することなんて無い。
それより…唇は大丈夫?随分強く噛んでいたけど切れてない?」

噛んだ後が痛々しく残る唇を親指でなぞり、触れるだけのキスをする。

「泣かないで。
大丈夫、僕が護るから…
どんなことからもきっと護るから」

「…廉…くん?」

不安げに揺れる香織の瞳に、僕は言いようの無い不安を掻き立てられた。

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