【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
香織を部屋に案内してから、母が用意したクッキーとハーブティーで、久しぶりに二人きりで過ごす。

今朝までの殺人的な忙しさが嘘のように、時間の流れがとてもゆっくり進んでいる。

ここ暫く、香織に会えない苛立ちを、仕事にぶつけて突っ走っていたから、余計にそう感じるのか…

それとも香織がいる事で、焦りや苛立ちが消えてしまったからなのか…

どちらにしても、それが香織の存在のおかげだということだけは明らかだった。

「僕を待っている間も楽しかったみたいだね。
よかった。随分待たせたし寂しい思いをさせたんじゃないかと不安だったんだ。
ねぇ、母さんと何を話していたの?僕の名前が聞こえてたよ?」

二人が話していた事は大体想像がつく。

たぶん僕の何処が好きなのかとか、普段の二人の様子などを、母が一方的に質問していたのだろう。

香織が何と答えたのか気になるのは当然で、探りを入れたくなるのは必然だった。


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