【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
無防備にさらされるうなじに唇を寄せたくなる。
所有の刻印を刻みたいと、本能が訴えてくる。
理性が軋んで悲鳴を上げた。
「香織…僕にだって…」
「…れ…んくん?」
僕の変化を感じたのか、不安げな表情を浮かべ戸惑う香織にハッとして、必死で理性をかき集める。
なんとか安心させるように、いつもの微笑を作ったつもりだけれど、上手くできた自信は全く無かった。
「あ…いや…僕だって久しぶりに会った香織が僕以外の誰かとあんまり楽しそうだったら嫉妬くらいするよ。
母さんの話ばかりしないで僕を見つめて?」
暴走をぐっと堪えて、紳士的に何とか搾り出した言葉に香織は頬を染めて小さく頷いた。