【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
それから僕らは、一晩中離れていた1週間を埋めるように互いの事を話した。

毎日送られてきたメールの内容を補足するように時間を追って語る香織に、激務の中、メールの内容にひと時心和んだ日々を思い出す。

僕のアルバムは自宅にあるため、幼い頃の写真を見たいという彼女の願いを叶えることは出来なかったが、以前別荘でパーティをした時に撮った写真でも香織は十分楽しんだようだ。

そこに映る僕の友人や親類の話に瞳を輝かせていたが、特に一枚の写真が気に入ったようだ。

兄と慕っている水谷 武と蓮見 聖の二人の間に僕が立ち、3人で撮った珍しくカメラ目線のもので、質問も主にその二人に集中していた。

二人をとても尊敬している事や、パーティでは一番に彼らに紹介したいと思っていると告げると、嬉しそうに
「廉君がお兄さんみたいに思っている人なら、きっとすごく素敵な人なのね」
と笑った。

嬉しい反面、やっぱり僕以外の男性に瞳を輝かせるのはチョット悔しい。


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