【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「今度は絶対にアルバムを見せてね?」
と身を乗り出す彼女をそのまま引き寄せると、驚いて見上げた隙を逃さずそのまま唇を重ねた。

僕を嫉妬させちゃダメだって、あれだけ言っただろう?と、無言で伝える。

唇を離したとき、彼女は聞こえないほど小さな声で「ごめんなさい」と呟いた。

窓から吹き込む風に長い髪が揺らぎ、フワリと甘い香りが部屋を満たす。

避暑地の夜風は涼しく、森から吹く風が心地よく頬を撫でてゆく。

僕にはちょうど良い風だが、サンドレスの彼女には、少し冷たく当たる気がして、風から庇うように抱きしめた。

「風が冷たくなってきた。寒くない?」

「少し…。夜は随分涼しくなるのね」

「そうだね。身体を冷やすといけないから、そろそろ窓を閉めようか?」

「ううん、廉君が温かいから、もう少しこのままがいい」

コトンと僕の肩に頭を乗せて、甘えるように寄り添う香織の柔らかな髪が頬に触れた。


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