【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
少し速い二人の鼓動が、一つのリズムを刻む。

寄り添う僕らの周りだけ、時の流れが違うかのようにゆっくりと時間が流れていく。

このまま時間が止まってしまえばいいのに…。


「朝までずっとこうしていたいな…」

「……え?…朝まで?」

「そう。ずっと話して過ごして、朝食を食べてから寝ようか?」

「ええ~っ?無理よ。朝までなんて、絶対起きていられないわ」

何故、朝までなんて言ってしまったのだろう。

このまま二人で朝まで過ごしたら、自制できる可能性は10%未満といったところかもしれない。

自分の首を絞めるような発言をしてしまうのは、無意識に彼女を誘っているんだろうか?

『無理』と言われ、少し残念だったが、ほっとしている部分も大きい。

抱きたいと思う気持ちより、まだ大切にしたいと思う気持ちが勝(まさ)っている理性にホッとした。


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