【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
たかがシャワーを浴びる音で、こんなにも心が乱れるなんて…。

君を招待したときは、自分の理性がこんなにも脆いとは思ってもみなかった。

同じ部屋の同じベッドで寝ても、君に手を出さず、紳士的に過ごす事だって出来ると確信していたのに…。

甘かったな……。

今夜は早々に寝室に引き上げたほうが無難だと判断した僕は、湯上りの色っぽい彼女から逃げるように交代でシャワーブースへ飛び込んだ。

だけどブース内は彼女の香りで満ちていて…

とてもではないが冷静になどなれるはずも無く…

マジで理性が玉砕しそうになった。

おかげで僕の顔が、茹でタコのように赤かったことを、逆上(のぼ)せたと勘違いして心配する香織に言い訳するのが大変だった。

シャワーを浴びるといつも赤くなるんだ…
なんて、白々しい嘘で、いつまで誤魔化し通せるだろうか。

毎回これでは、言い訳のレパートリーが必要になりそうだな。

……明日からシャワーは絶対に香織より先に浴びる事にしよう。



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