【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
寝室のドアの前で、廉君はあたしの肩を抱いて、「お休み」と額にキスをした。

「お休み廉君。…あのね、あたしお願いがあるんだけど」

「何?一人で寝るのが怖いとか?」

明らかにからかっている口調の廉君に、「違うわよ!」と肘でわき腹を突いてみる。

「あのね、今日も朝早くからお仕事に行っていたんでしょう?
明日がお休みなら、ゆっくり休んで欲しいの」

「ゆっくりしてたらどこへも行けないよ?どうしたの?急に」

「だって…廉君疲れているでしょ?
ここには長く滞在するんだし、あたしがいるからどこかへ出かけようとか考えないで、いつも廉君が休日に過ごしているように、ゆっくりして欲しいの。
あたしがいる為に余計に疲れたり無理をさせることになったら、ここに来た意味が無いでしょう?」

廉君は驚いたように瞳を見開いてあたしを見た。


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