【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
廉君の部屋もリビングも、物音一つしない。

耳を澄ましてもシンとしていて、彼が起きているのか眠っているのかも判らない。


『…僕は鍵を掛けないから…僕より早起きできたら部屋へおいで』


廉君の言葉を思い出して、心拍数が急に早くなる。

『早起きできたら』とは言っても、ちょっと早すぎるとは思うけど…。

でも、なんだか心配なんだもの。

何時でも良いって言っていたし、ちょっと様子を見るくらい良いわよね?


自分を無理矢理納得させ、軽くノックをする。

聞こえないのか眠っているのか、扉の向こうからは何の返答もない。

ドアノブに恐る恐る手を掛けて、ゆっくりと回すと…


ドアは静かに開いた。

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