【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「…廉君?まだ、起きているの?」
遠慮がちに声をかけると、廉君は部屋の中央付近のダブルベッドで眠っていた。
灯りも消さず、仕事の資料をベッドサイドに置いたまま、掛け布団も掛けずにピクリともせず眠っている。
きっと寝入る直前まで資料を見ていて、そのまま寝てしまったのだろう。
「廉君?ねぇ、お布団をきて寝ないと風邪を引くわよ?起きて?」
軽く揺すっても、まったく起きてくれる気配はない。
せめて彼が背中に敷いてしまっている掛け布団を何とか引き出せないかと試みた。
うーん。びくともしない。
疲れているんだろうなぁ。