【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
余りにも深く眠っている彼を起こすのが可哀想になって、間接照明の灯りに陰影を深くする綺麗な横顔にそっと触れてみる。

いつもは寝癖でボサボサの髪も、優しく微笑む唇も、何も変わらないのに、眠っている廉君の唇は色もなく、表情も冷たくて、何だか別の人みたいだった。

急に一人になった気がして、心細くなる。

「ヤダ…。ばかね、あたしったら…。廉君は廉君なのに」

自分に言い聞かせるように呟くと、確かめるようにそっと唇を重ねた。

やわらかく触れる感触。

ほら、やっぱりいつもの廉君と何も変わらない。

何を不安になっているんだろう。


あたし…バカみたいだね。


廉君があたしに興味が無いみたいだから不安だなんて…

彼があたしを好きだって事は、良く解っているのに…

何もしないのは、大切にしてくれている証拠じゃない。

それを不安だなんて…


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