【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「廉君。寝ぼけてるでしょ?起きて?」

「香織…欲しい…」

「え?」

今、何て言ったの?

聞き返す間もなく、あたしをギュッと抱きしめたまま、再び眠りに落ちてしまった廉君。

その寝顔が、さっきの冷たい表情とは違い、とても幸せそうに微笑んでいて…。

彼の為に少しだけ何か出来た気がして、なんだかとても嬉しくなった。

温かい腕

規則正しい寝息

いつの間にか、さっきまで五月蝿かった鼓動は静かになり…

廉君のそれと重なるようにリズムを打っていた。

なんだか、それがすごく幸せで…

不安になる必要なんて無いんだって、思えて…


彼の鼓動に誘われるまま、瞳を閉じた。


< 94 / 380 >

この作品をシェア

pagetop