【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~

心を羽で擽るような幸福感と満足感が僕を包み込む。

瞼の向こうに、明るい日差しを感じ、もう目覚めの時間が来たのだと解っても、もう少しこの感覚を味わっていたかった。

あと少しだけ…と、枕をムギュっと抱きしめ、寝返りを打とうとして、いつもと違う枕の感触に違和感を覚える。

徐々に覚醒を始める意識に、薄っすらと瞳を開くと、目の前に自分のものではない、柔らかな茶色の髪が飛び込んできた。


………へ?香織?


夢かと思って、マジマジと彼女を覗き込んでみたが、安らかな寝息をたてて、僕の腕の中で寄り添い眠る香織の姿は現実のようだった。


あ…れ?


どうして香織が僕のベッドで寝ているんだ?


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