【長編】Little Kiss Magic 3~大人になるとき~
「あー…覚えて無いんだ、やっぱり。…寝ぼけていたものね」
……寝ぼけて何かしたのか?
「そっかぁ。あの時何て言ったのか良く聞こえなかったのよね。
気になっていたから教えて欲しかったのになぁ」
……気になるから教えて欲しいのは僕のほうだって。
昨夜の一連の流れを聞くと、僕は寝ぼけて彼女をベッドに引き込んで、そのまま寝入ってしまったらしい。
ベッドサイドの灯りをつけたまま眠るのは、いつものことだ。
以前暗闇で眼鏡を落して割ってしまったことがあり、それ以来ベッドサイドのライトだけは点けておくクセが付いたのだ。
それを知らない香織は、僕が深夜まで起きていると心配したらしい。
良かった。
僕が無意識に彼女を拉致してきた疑惑は晴れた。
でも、自分を疑わないといけないこの状況って…情けないなぁ。