噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
絞り出したように、小さな震えた声。
「何も無い訳、無いだろ。」
「本当に、何も無いからっ。」
「だったら、なんで泣いてるんだよ。」
「っ・・・お願い、暫く放っておいて。」
目に溢れんばかりに溜った涙を見せないようにする為か
雪稀は俯いて、手を握っていた俺の手を
振り払って、その手を自分で握りしめた。
「空良さんには、関係ないから。」
そう言って、部屋に入ると
目の前でパタンと、ドアが静かに閉じた。
「関係ある。俺は、お前がっ―――――。」
ダメだ。
今、何を言おうとした?
お前が――――スキダカラ。
それを言えば、きっと雪稀は苦しむ。
言っちゃいけない。
だから、俺が言えるのは――――――――
「雪稀。1人で悩むなよ。俺達は家族なんだから・・・。いつでも、聞くから。」
俺の声が届いているか分からないけど
俺は、ドアに当てた両手を強く握りしめてそう言った。