噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

ホテルのフロントで、ルームキーを受け取っている陸玖さんと

その後ろで、少し恥ずかしそうに頬を赤らめている女性。


そして陸玖さんは、彼女を大切そうに腰に手を添え

笑顔を浮かべながら、そのままエレベーターホールへと

消えて行った。



うそ・・・どうして―――――――


「雪稀・・・大丈夫?」

「え?何が?・・・ほ、ほら。行こうっ」

「どこに?」

「何言ってるの?ケーキバイキングだよっ。楽しみだね。」


ちゃんと笑えていたかな?

千尋に心配かけたくない。



それに



陸玖さんを信じたい―――――――




けれど、美味しいはずのケーキは味は記憶になくて

色とりどりのケーキは、どれもモノクロに見えてしまった。

千尋との話も、上の空で何を話していたのかも

分からない。


ただ、あの女性と陸玖さんの姿だけが

私の頭の中を占領していた―――――――――


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