噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

笑顔を作って、そう提案してみる。

はぁ・・・何を企んでいるんだか。

俺には、雪稀がいるし。

他の女と二人で食事なんて行きたくない。


「いや、私はもう少し颯馬と話がしたいんだ。久しぶりに会ったからね。すまないが、陸玖君。二人でそのフランス料理を食べてきてくれないか?」

「お、お父様っ・・・。」

「香織さん。陸玖では不満かもしれんが、私ももう少し親父さんと話がしたい。良ければ食事してくると良い。」


仕方ない、ここまで言われると行かないわけにはいかない。

しかし、親父も何考えてるんだよっ。


「香織さん。私でよければ、一緒に行きませんか?」

「え・・・いいんですか?」

「もちろん。」


彼女は、赤らめた頬をさらに赤くした。


「あ、陸玖・・・ちょっと。」

「なんでしょうか?」


親父は、二人に背を向けるように俺を立たせ

耳元でそっと小声でささやいた。


「彼女は、目が見えないからしっかりエスコートするように」




――――――マジかよ。

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